ニューヨーク流子育て術 プレッシャーをかけない育て方 6
前回は、アメリカの小学校での取り組みの様子を伝えた。
算数についてはアメリカよりも日本のほうがよほど難しいことを習っていると思われる方も多いかもしれない。
それが意外にも、素因数や公倍数、最小公倍数などを小学4年生(実際には日本より半年早いので、3年生途中)でやっている。
わが子はずっと日本流の教育を受けてきて100マス計算などももちろんやってきたが、参観日に見に行ったところ、同じチームの4人の中で、素数や公倍数を計算する課題(掛け算の暗算が必要)では一番時間がかかっていた。
アメリカでも算数が得意な子は山ほどいるという現実に直面した次第。
しかし、実際には一部の私立小学校を除けは、アメリカの算数は日本ほどのレベルではないというのも確かで、現在は算数のレベルを高める過渡期にあるか、あるいは学校区による明暗が分かれている状況。
学校の判断で飛び級もある。
だから、とびぬけて優秀な数学者がでるのだろう。
反対に、習得に時間のかかる子供は一学年遅らせる事はよくあること。
アメリカは子どもの生年月日で一律に学年を決めるのではなく、その子供に必要なレベルを先生と親とで考慮している。
日本から来た子供も、生年月日での学年よりも遅くするケースが多い。
早産で生まれると、一般的な子供の成長よりも遅いため、授業についていけない場合も同じ学年に入れられる弊害がある為、日本では一学年遅らせるために裁判をおこし、その判決によって近年やっと認められるようになったと聞く。
さて、近年全米で広がっている、小学校の新しい算数教育とは、「シンガポール・マス」と呼ばれるもの。
シンガポールは世界の算数のテストで常にトップクラスの成績をおさめている。
それまでのアメリカの一般的な算数では、様々なテーマで学ぶために、知識が十分に習得できないか、あるいはすぐに忘れていく傾向があったそうだ。
一方で、シンガポールマスはより数学的な内容を絞って学び、根本から考えるために、生涯にわたって役に立つ。(詳細は以下のNTタイムズURL参照の事)
例えばスカースデール学区では教材などに1450万円程度の支出をしていると書かれているが、貧しい地区の公立でも導入が始まっている。
グローバル経済での激しい競争に対応するには、それにふさわしい高等な数学を学ばなければならないというニーズが小学校の算数改革につながっている。
日本の小学生の子供たちはどうだろうか。
中学受験のために、面白くもない複雑な四則計算問題正確に早くを解く練習をさせられている。
毎朝計算練習をするように話している塾も多い。
一方、複雑な四則計算を解くために、計算機の使い方を教えるアメリカのやり方。
中学では関数計算機の使い方を学ぶことで、ストレスなく早く複雑で難しい問題を解いている。
多くの時間をより数学的なコンセプトを学ぶために使っている。
学校区が契約しているネットやアプリを使って、小学生でもゲーム感覚で楽しくブラインドタッチを習得している。
実際、日本の企業で手計算で経費を精算している事務職員がいるだろうか。
日本の一級建築士のテストや大学の物理のテストでも、計算機の持ち込みOKは当たり前。
受験の為に、子供たちは無駄なストレスをかけられている様にしか思えない。
戦国時代に、道場で剣術の鍛錬をするのと、銃の開発や使用方法を練習するのでは、どちらが賢いやり方なのか、答えは見えている。
この世界経済で勝ち抜く力をつけるために役に立つ教育について、日本も考える時期に来ているのではないだろうか。
NYタイムズより
追記
2018年7月
小さなオーガニック食品・雑貨専門店をはじめました。
Naturange Natur自然+Ange天使 から名付けました。
EU育ちで5歳で帰国した時に原因不明のアレルギーを発症し、手作り食品に切り替えたところ、完治したことがきっかけです。